2009年12月1日火曜日

"Nanjing, elu ja surma linn"

昨日お話しした"PÖFF"の上映作品の一つ「南京!南京!」を観てきました。

1937年に始まった日中戦争時の「南京大虐殺」に焦点を当てた映画で、監督は中国人の陸川さん。

歴史的大事件を扱った映画だけに、民族感情を煽るような映画なのではと危惧してましたが、事実を刻々と映し出し、この悲劇を現代の中国人・日本人はどう捉え、お互いに理解しあっていけばいいのか、それを考える上で一助となる秀作です。

事実を鮮明に表現しているだけあって、作中には日本軍と中国軍の残酷な市街戦、広場に集められ一斉に銃殺される人、生き埋めにされる人、教会に押し込まれ建物ごと火あぶりにされる人、電柱に吊り下げられた死体や生首など、惨たらしい光景が何度も描かれ、途中気分が悪くなりもした。

作中の演技において感銘を受けたのは日本軍兵士を演じた日本の俳優の方々。南京市民の大量虐殺、女性への強姦、小さな子供を2階から放り投げるシーンなど、精神的に大きな苦痛になるだろう場面もしっかりとリアルに演じてある。きっと撮影中は辛かったことと思うが、彼らの努力がこの映画を更に価値あるものにしていると感じる。

生きることを憂いて死に行く人、幸運にも生き続けるチャンスを手にした人、精神的苦悩により死を選ぶ日本軍兵士、英語版のタイトルが"City of Life and Death"であるように、生と死の中に戦争に翻弄され、傷つき、崩壊していく人々の魂が見える。この映画は事実を克明に描くことで、南京大虐殺という悲劇の歴史を人々の心にしっかり留めさせる役割はもちろん、人々の精神の支配と崩壊という戦争の本質を暴くことで、この事件に対するもっと大きな、普遍的な視点に立った理解を人々に求めている。

中国の作品であるにもかかわらず、物語は日本軍兵士の視点に立って進んでいくという点に、陸川監督の求めているものが見えてくると思う。

日本でこの映画が上映されたかどうかは分かりませんが、学校でもロクに教えられることのない事件だからこそ、もし見る機会があれば、是非とも勇気を出して歴史の真実に目を向けて欲しいと思います。

映画通でもないのに少し生意気な意見を述べさせてもらいました。真剣に物事を考え始めると整理がつくまで頭から離れないから困ります。

旅行計画だけ考えることにします。

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