2009年12月13日日曜日

Japan, Estonia, Columbia and Cameroon

昨晩、ジブリ映画が大好きになったコロンビア人の Carlos と「千と千尋の神隠し」を観た後、25歳の誕生日を迎えたカメルーン人の Dean を祝ってキッチンで団欒しているうちに、Dean がエストニア人学生の住む寮の生活環境を話し始め、そこにエストニア人の Õie が加わって、気付いたら政治やら、経済やら、環境問題やらについて意見交換が始まっていました。

アジア、ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカと、全員が異なる大陸出身の、文化、経験、価値観をもつ4人が、それぞれの国、地域が抱えている問題を話し合い、新しいことに目を開かされる、そんな貴重な時間を共有できた一夜。

エストニア人の Õie は、ソビエト占領時代のエストニア人の悲惨な生活環境、例えば、僕が今住んでいる寮の2人部屋程度の大きさの部屋に6人もの家族が押し込まれて住んでいたとか、祖母の家にはトイレも風呂もなかったとか、消費税・所得税が20%もするため、エストニア人のほとんどは経済的に中流か、それ以下の生活を強いられている、など。

カメルーン人の Dean は、NGOや赤十字などアフリカの貧困改善のために活動している団体も、所詮は『仕事』であり、彼らの給料、広報活動、旅費などに寄付金の大半は使われ、実際に苦しんでいる人々には何も届かないと話してくれた。「金を浪費する余裕があるのなら、自分の国で底辺に沈む貧しい人々の救済や病院の設立や医療機器の充実を図ることに使ってほしい。ワクチン接種や病気に対する処方薬を1度体に取り込むと、その『毒』が体を蝕み毎年のように新たなワクチン・薬が必要になり、どんどん体は弱まっていく。そして慈善団体はワクチンを手に入れるための寄付金を募り、彼らだけが得をする。アフリカの人々はそういうものに頼らずとも、祖先から伝わる薬草医療や有機的な果物や野菜を接種することが健康を維持する一番の方法だと知っている。」

コロンビアの Carlos は、アマゾンの熱帯雨林が毎年、異常なスピードで伐採されていくこと、生計を立てるために後先考えずに森林を破壊していく現地住民、2年間従事したボランティア活動で、自然環境に少し手を加えることが自然の営み全てを狂わせることを無知な人々に教え、植林活動を奨励して、少しずつ人々に知識を植え付けていった話などをしてくれた。

正直、僕にとってどれも耳新しい話ではない。高校の授業、大学の授業、テレビ、新聞、インターネットどこにでも書いてある。それでも、エストニアで4カ月、学生生活を送ってきた中でもっとも衝撃的だったひと時を過ごしたと感じる一番の理由は、こういう問題を抱えた国に住んでいる人の口から出てきた、実感を伴わせるリアルな話だったから。うっすらと涙を浮かべて訴える、皆の目が心に焼きついて離れない。

教室で勉強してきたどんなことよりも意味がある。留学することの意味って、こういう経験をすることなのだろう。

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