2009年9月12日土曜日

Viljandi























 Viljandiから帰って来ました。本当にきれいな街でした。
 朝5時45分のバスに乗って、霧に包まれた道路を行くこと約1時間。Tartuから西に80km離れた湖畔の街"Vilijandi"に到着。バスターミナルから南へ真っ直ぐ歩き、真白のいかにも教会らしい"St. John's Church"を左に見送って丘の道を歩いて行くと、吊り橋(Suspension Bridge)が見えてきて、その先にチュートン騎士団の要塞跡が待っています。朝早く到着したおかげで、眼下に広がるViljandi湖から湧き立つ雲のような霧とその先に光り輝く太陽の絶景を拝むことができました。一緒に行った香港の留学生Eugeneがカメラについて詳しかったおかげで撮り方の基本を教わることができ、いくつか綺麗な写真を撮ることができた。3つ続きの丘の上に立つこの要塞にはもともとエストニア人の要塞があったのですが、13世紀ドイツ勢力との闘いの末に陥落し、新たにチュートン騎士団の要塞が建設されました。Viljandiはその後、ハンザ同盟に加入し、交通の要衝として栄えたようです。
 要塞を後にし、"Kondase Keskus"というアート・ギャラリーへ。Paul KondasというNaivistの作品が展示されています。Naivistとは美術教育を受けず、独学で絵を描き始めた人のことを指すらしく、Kondasも50,60歳を過ぎ教師を退職した後に絵画を始めたそうです。肝心な絵は、やはり正規の教育を受けていないから子供の絵のよう。腕がマカロニのようにグニャッとしていたり、子供が書く両親の似顔絵のような顔など。しかし、とても丁寧に描かれていて、何よりもユーモアがあって良い。Viljandiに行く人は是非このギャラリーを訪れることをお勧めします。案内の人はとても丁寧に、ゆっくりと、熱心に説明してくれる。ところで、ここViljandiの町では大きなイチゴのモニュメントが散見されるが、その理由は、Kondasの"Strawberry eaters"という作品から来ているらしいです。
 その後、30mの高さの"Old Water Tower"に登りました。展望台からは360°の大パノラマが広がり、街並みや湖はもちろん、周囲の土地まで見渡せました(当然、森と草原のみ)。ただ、塔の中は小さな羽根虫だらけ。エレベーター建設のための寄付金を募っていましたが、虫の駆除と侵入防止に使うべきですね。
 "Water Tower"の通りの東には湖へ下る階段が続き、テニスコートやサッカー場などで子供達が遊んでいます。ここにマラソン選手の像がありました。「"Huberto Pӓrnakivi"。Viljandi湖マラソン11大会連続優勝の記録を持つ。」とあります。ワールドクラスとありましたが、世界大会での記録に関する記述は一切ない、ローカル・ヒーローです。湖では1時間50EEKでボートを借りて、湖上でのほほ~んとしました。湖から見ると要塞の立つ丘の特異な地形がはっきりと分かります。3つ並びの台形の丘と急斜面の谷、要塞が賢固を誇ったことが容易に理解することができます。
 その後、街に戻って赤レンガの"St. Paul's Church"を写真に収め、夕日の写真を撮るため18時ごろに再び湖へ。ボートを借りて撮影ポイントへ移動し、ボートの上に寝っ転がってEugeneと語り合いながら日が沈むのを待ちました。が、なかなか太陽が沈まない。エストニアは9月になっても日没は20時頃。結局、日没直後の真赤に染まった空と湖を写真に収めることはできず。さらに充電し忘れたカメラのバッテリーがついに切れてしまう悲劇。まぁ、仕方ない。一日中歩き回ったので疲れ果て、すぐに眠りに落ちました。
 2日目。朝8時起床。当初、朝5時に起きて、昨日と同じ要塞跡から朝焼けの空と湖を眺めにいく予定でしたが、目覚ましが鳴っても疲れで起きる気分にならず、どうせバッテリーも切れてるし、ってなわけで2人とも寝坊。今日は志向を変えて観光地には行かず、普通の家が並ぶ住宅街を散策。バルト風の家、ギリシャ建築とバルト建築が混ざった家、湖へ延びる急坂に立ち並ぶカラフルな家々、静寂に包まれた通り。街の中心から離れたところを散策する楽しみを味わいました。ほとんどの家には大きな庭があって、子供たちが遊んでいたり、大人は庭に生えるリンゴを収穫していたり、とても平和な空間。エストニア語をもっと勉強して、ただ写真を撮るだけの旅に現地の人々との交流を付けくわえられるようになりたい、と思いました。
 再び要塞跡を訪れ絶景を眺めながら昼食。14時から'St. John's Church"でコンサートを鑑賞する予定でしたが、湖の対岸を眺めているうちに向こう岸には何があるのか気になり、Eugeneに無理を言って計画を変更。ただ、何とビックリ、彼が自転車に乗れないことが判明し、延々歩いて対岸を目指すことに。対岸の森の中はハイキング・トレイルが延び、森の横には麦畑が広がっていました。Viirastiという街にも入りましたが、人も歩いていないし、何にもなさそうなのですぐに出て、Viljandiの街へ戻り、これ以上散策する気分にもならないということで15時半のバスでTartuへ帰りました。
 総じて、エストニアで初めての旅ということで全てが印象深く、全てが素晴らしい思い出でです。旅の計画に乗ってくれたEugeneとの仲もきっと深まったと思う。一つ残念なことはエストニア人と交流ができなかったこと。せっかく旅をしても留学生同士の仲間内で観光名所だけみて帰るんじゃもったいない。一人で旅をして、現地の人々と彼らの言葉で交流をする。そういう経験をしてみたい。その為には勉強あるのみ。目的があれば勉強もはかどる。今回の旅で、エストニア語で料理を注文してみたらちゃんと通じた。小さなことでも恥ずかしがらずに喋ってみて、少しずつ上達していければいいと思う。一年後に一人でエストニア中を旅して、エストニア語でエストニア人と交流をしている自分を想像して、勉強に精を出そうと思います。
 以上、Viljandiへの旅行記でした。

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